Canon EF 135mm F2L USM レンズレビュー:卓越した描写と用途
Canon EF 135mm F2L USMは、キヤノンのEFマウントにおける伝説的なLシリーズ望遠単焦点レンズとして、長年にわたり多くの写真家から高い評価を得てきた一本です。その卓越した光学性能、高速な開放F値、そして美しいボケ味は、特定の撮影分野において今日でも第一線の選択肢であり続けています。本レビューでは、このレンズの性能と特徴を客観的に評価し、その真価が発揮される最適な使用シーンを探ります。
レンズの概要と主要スペック
このレンズは、フルサイズセンサーに対応したEFマウントの単焦点レンズであり、135mmという固定焦点距離と開放F値F2という明るさが最大の特徴です。Lレンズの称号が示す通り、プロフェッショナルな要求に応える堅牢な作りと優れた光学設計が施されています。
主な仕様は以下の通りです。
- マウント: EF
- 焦点距離: 135mm(単焦点)
- 開放F値: F2
- 最小絞り: F22
- 対応フォーマット: フルサイズ
- 手ブレ補正: なし
- 最短撮影距離: 0.9m
- 最大撮影倍率: 0.19倍
- フィルター径: 72mm
- レンズ構成: 8群10枚
- 絞り羽根: 8枚(円形絞り)
- 質量: 750g
- 特徴: Lレンズ、USM(超音波モーター)、円形絞り、優れたボケ味
これらのスペックから、このレンズが高速シャッターと浅い被写界深度、そして優れた描写力を追求するために設計されたことが伺えます。
光学性能と描写力
EF 135mm F2L USMの最大の魅力は、その光学性能にあります。開放F値F2から驚くほどのシャープネスを発揮し、被写体の細部まで精緻に描き出します。色収差は効果的に補正されており、高コントラストな環境下でも色にじみが少なく、クリアな画像が得られます。
また、8枚羽根の円形絞りによって生み出される「とろけるような」と形容される美しいボケ味は、このレンズの代名詞とも言えるでしょう。開放F2での撮影では、背景が滑らかに溶け込み、主題を際立たせる効果が非常に高いです。特にポートレート撮影においては、被写体を立体的に浮かび上がらせ、印象的な作品を生み出す上で不可欠な要素となります。
オートフォーカス性能
AFシステムには、キヤノン独自のリングUSM(超音波モーター)が採用されています。これにより、高速かつ静粛なオートフォーカスを実現しており、動きのある被写体や、音を立てたくないシビアな撮影環境においても高い信頼性を提供します。特にポートレートやイベント撮影など、一瞬の表情を捉える必要があるシーンでは、このAFスピードが大きなアドバンテージとなります。
最適な使用シーン
このレンズが真価を発揮するシーンは多岐にわたりますが、特に以下の分野でその性能が際立ちます。
1. ポートレート撮影
135mmという焦点距離は、屋外でのポートレート撮影に理想的です。被写体との適度な距離感を保ちつつ、開放F2の浅い被写界深度と美しいボケ味で、被写体を印象的に分離させることができます。顔の表情や背景の雰囲気といった要素を、絶妙なバランスで表現することが可能です。
2. 結婚式・イベント撮影
結婚式や発表会などのイベント撮影では、被写体に近づきすぎることなく、自然な表情や瞬間の動きを捉える必要があります。135mmの望遠域は、このような状況で被写体を切り取るのに適しており、F2の明るさは暗い会場内での手持ち撮影を可能にします。USMによる高速AFも、決定的瞬間を逃さない助けとなります。
3. 低照度下での撮影
開放F2という明るさは、光量の少ない場所での撮影において大きな強みとなります。ISO感度を過度に上げることなく、手持ちでの撮影範囲を広げることができ、ノイズの少ないクリアな画像を得ることに貢献します。夜景ポートレートや室内でのイベントなど、暗い環境での撮影に威力を発揮します。
4. ストリートスナップ(被写体分離)
一般的なストリートスナップレンズとしては焦点距離がやや長いと感じるかもしれませんが、このレンズを意図的に使用することで、混雑した街中でも特定の被写体を背景から際立たせ、ドラマチックな瞬間を切り取ることが可能です。距離を置くことで、被写体に気づかれずに自然な表情を捉えることもできます。
留意すべき点
一方で、このレンズにはいくつかの留意すべき点も存在します。
1. 手ブレ補正機構の非搭載
Lレンズでありながら、光学手ブレ補正機構(IS)を搭載していません。これは、特に低照度下やシャッタースピードを稼げない状況において、撮影者にある程度の配慮を求める要素となります。安定した姿勢での撮影や、場合によっては三脚の使用を検討する必要があるでしょう。
2. 単焦点レンズの特性
単焦点レンズであるため、ズーム機能は備わっていません。画角の変更は、物理的に自分が動くことで行う必要があります。これにより、撮影に集中し、構図を熟考する良い機会にもなりますが、限られたスペースや迅速な対応が求められるシーンでは、柔軟性に欠けると感じるかもしれません。
3. 135mmという焦点距離
屋外でのポートレート撮影には最適ですが、室内など限られた空間では135mmという焦点距離が長く感じられ、十分な撮影距離を確保できない場合があります。使用する環境を考慮したレンズ選択が重要です。
4. 重量
750gという質量は、常に持ち歩くには決して軽いとは言えません。しかし、その重量はLレンズとしての堅牢な作りと高品質な光学ガラスによるものであり、その性能を考えれば妥当な範囲とも言えます。
まとめ
Canon EF 135mm F2L USMは、手ブレ補正機構を持たない単焦点レンズという特性から、すべての撮影シーンに万能とは言えません。しかし、その卓越したシャープネス、開放F2が生み出す美しいボケ味、そして高速かつ静粛なUSMによるAF性能は、ポートレート、結婚式、イベント、低照度といった特定の分野において、現代のレンズにも引けを取らない描写力を提供します。
このレンズは、被写体を背景から美しく分離させ、感情豊かな作品を創り出すことを追求する写真家にとって、今なお価値ある選択肢であり続けています。特に、そのクラシックでありながら色褪せない描写力は、デジタル時代の今日においても、多くの写真愛好家やプロフェッショナルから愛され続ける理由となっています。EFマウントのDSLRユーザーであれば、一度は試す価値のある「銘玉」と呼べる一本です。
